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市場阻害行為の規制(不正取引の規制)②

パート13

金融商品取引法

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市場阻害行為の規制(不正取引の規制)②

内部者取引(インサイダー取引)

内部者取引とは

内部者取引(インサイダー取引)とは、会社関係者等がその会社の株価に影響を及ぼす未公表の重要事実を利用して自社株等を売買することです。

公正な価格形成を妨げるだけでなく、有価証券市場に対する投資家の信頼を損ね、有価証券市場の健全な発展を阻害するため禁止されています。

金融商品取引法_市場阻害行為の規制_4.png

内部者取引の要件

内部者取引規制にあたる条件は、それぞれ次のとおりです。

▼会社関係者

会社関係者とは以下のような人のことです。  

  • その上場会社等の役員、代理人、使用人その他の従業員
    ※役員等には親会社、子会社の役員等が含まれます。
  • 上場会社等の帳簿閲覧権を有する株主社員
  • その上場会社等に対して法令に基づく権限(許認可権や立ち入り検査権など)を有する者
  • その上場会社等と契約を締結している者または締結の交渉をしている者、すなわち取引銀行、公認会計士、引受人など
  • 現在は上記の会社関係者ではないが、以前関係者であり関係者でなくなってから1年以内の者

上記の会社関係者より情報を受けた者(第一次情報受領者)も会社関係者と同様に規制の対象となります。

▼重要事実(インサイダー情報)

以下の重要事実を知ったときに取引が禁止になります。  

  • 決定事項(株式の募集・新株予約券の募集、資本金の額の減少、資本準備金・利益準備金の額の減少、自己株式の取得、株式分割、剰余金の配当、株式交換及び株式移転、合併・会社の分割、解散など)
  • 発生事実(主要株主※の異動、災害による損害など)  
  • 決算情報(売上高、純利益など) 
  • 一旦行うと決定した事項を行わないことを決定したという情報 
  • その他(上記以外の業務または財産に関わる事実で投資家の判断に影響を及ぼすもの)

また、これらの重要事実は子会社に生じた場合でも親会社同様に規制対象となります。

※主要株主とは

発行済株式の総数の10%以上の株式を保有する株主のこと。

▼重要事実の公表

以下のいずれかの条件を満たした場合は、重要事実が公表されたと認められます。この後に取引をしても内部者取引になりません。  

  • その重要事実が2つ以上のテレビや新聞などの報道機関に対して公開され12時間以上経過した場合。  
  • 上場会社等が提出した有価証券報告書などに重要事実が記載され、公衆の縦覧※に供された場合。  
  • 重要事実が電磁的方法(TDnet)で通知され、公衆の縦覧に共された場合。(この場合は12時間が経過しなくてもよい)

※公衆の縦覧とは

会社関係者以外の人間でも自由に書類を閲覧できる状態のこと。

▼適用除外

内部者取引に該当する場合でも、以下のようなケースでは違法にはなりません。  

  • 株式の割り当てを受ける権利を有する者がその権利の行使によって株券を取得する場合  
  • 新株予約権を有する者がその新株予約権行使により株券を取得する場合

などです。

上場会社等の会社役員及び主要株主への規制

以下の規制は該当する人々が内部情報を不当に利用して利益を得ることを防止するためにできました。

▼会社役員及び主要株主の報告義務

上場会社等の役員及び主要株主は自己の計算でその上場会社の株券・新株予約券証券などの売買を行った場合その内容についての報告書内閣総理大臣に提出しなければなりません。

▼役員及び主要株主の短期売買規制

上場会社等の役員及び主要株主がその会社の特定有価証券について自己の計算で買いつけ等をした後6か月以内に売りつけ等をし、利益が出た場合、その上場会社はその役員または主要株主に対して売買によって出た利益を会社に提供するように請求を行うことができます。

▼役員及び主要株主による自社株の空売りの禁止

上場会社等の役員及び主要株主は自社株の空売り※及びそれと同様の効果を有する取引をすることを絶対的に禁止されています。

※空売りとは

保有してない株券や借りてきた株券を売ること。

例えば、株価が下落することを予想し、その時点の株価で株券を借りて売却し、その後株価が下落したところでその株を買戻し差益を得ようとする取引のことです。

金融商品取引法_市場阻害行為の規制_5.png

1 内部者取引
2 内部者取引の重要事実