指定紛争解決機関
このパートでは指定紛争解決機関について解説します。
指定紛争解決機関とは
裁判を行わずに簡易・迅速にトラブルを解決する手段である裁判外紛争解決手続(ADR)を、金融の分野でも取り入れたものを金融ADR制度といいます。
顧客と金融機関の間でトラブルが発生した際、この金融ADR制度を使ってトラブル解決を図ることが金融商品取引法で認められています。
このトラブル解決を行う組織が指定紛争解決機関です。
指定紛争解決機関の役割は大きく分けて以下の2つです。
1.金融トラブルの解決
金融商品やサービスの専門的な知識をもとに、法令に基づいたトラブルの解決を図ります。指定紛争解決機関は中立・公正な立場であることが要求され、さらに簡易・迅速にトラブルを解決を行う事が求められます。
2.金融トラブルの予防
また同じようなトラブルが発生しないよう、指定紛争解決機関はトラブル解決の経験を活かしてトラブルの原因や、情報を分析し、分析結果を金融機関や利用者に周知する役割を持っています。
指定紛争解決機関の業務
業務規定
指定紛争解決機関は、紛争解決を行うにあたり金融商品取引業者や顧客などと契約を締結し紛争解決業務を行うことで、負担金または料金等を受け取ることができます。
契約内容や締結・実施・料金に関する事項等については業務規程を定めることが求められています。
なお、苦情の処理や紛争解決業務を委託をする事は禁止されています。
▼紛争解決等業務
指定紛争解決機関は、取引業者と顧客等から紛争解決の申し立てを受けたとき、紛争解決委員を選任し、和解案の受諾勧告や特別調停案の提示をすることができます。
また、紛争解決手続の記録を10年間保存する必要があります。
なお、紛争解決委員は弁護士や司法書士、金融取引業の経験が一定年数ある人や、消費者のトラブル解決の経験がある人など選任規準が定められています。
▼苦情・紛争の防止
指定紛争解決機関は、金融商品の取引に関する苦情や紛争を未然に防止し、苦情の処理や紛争の解決の促進のため、情報提供や相談等の援助を行うように努める必要があります。
▼苦情内容の通知
顧客から苦情について解決の申し立てがあった場合、その相談に応じ、助言することに加え、苦情に関する調査の実施や取引業者への苦情の内容を通知する必要があります。