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市場阻害行為の規制(不正取引の規制)①

パート12

金融商品取引法

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市場阻害行為の規制(不正取引の規制)①

市場阻害行為の規制

金融商品取引法では、資本市場機能が阻害されるのを防止するため、市場阻害行為(不公正取引)の禁止に関して規定をしています。本パートではその規定について解説します。

不公正取引禁止の包括規定

公正取引禁止の包括規定として、有価証券の売買その他の取引またはデリバティブ取引等について、不正の手段、計画または技巧をしてはならないとされています。

風説の流布・偽計取引

有価証券の募集、売り出し、売買その他の取引もしくはデリバティブ取引等のために、または有価証券の相場を変動させる目的で、風説の流布(噂を世間に広めること)をし、偽計(人をだますための計画)を用いることや、暴行や脅迫をすることは禁止されています。

相場操縦

相場操縦とは、有価証券やデリバティブ取引に関わる市場における価格を意識的に変動させて、その相場を自然に形成されたものであるかのように装い他人に誤認させて、それを利用して自己の利益を得ようとすることです。

相場操縦は、市場の公平性を阻害するものとして厳しく禁止されています。これにはいくつか種類があるので、それぞれ区別して把握しましょう。

仮装取引

仮装取引とは、上場有価証券等の売買、デリバティブ取引について、取引状況に関し他人に誤解を生じさせる目的をもって、権利の移転金銭の授受等を目的としない仮装の取引をすることです。

例えば、実際にはある銘柄を売り注文を出しながら、別の金融商品取引業者から同一人物が同じ銘柄の買い注文を出すといった、有価証券の権利の移転や金銭の受け渡しを目的としない取引があります。

金融商品取引法_市場阻害行為の規制_1.png

馴合取引

馴合取引とは、自己が行う売りつけもしくは買い付けまたはデリバティブ取引の申し込みと同時期に、それと同価格で他人がその金融商品の買い付けもしくは売りつけまたはデリバティブ取引の申し込みを行うことを、あらかじめ申し合わせて、その売り付けもしくは買い付けまたはデリバティブ取引の申し込みを行うことです。

金融商品取引法_市場阻害行為の規制_2.png

例えば、ある銘柄の売り注文(A銘柄を800円で売る)を出すと同時に、他の人が同じ銘柄の買い注文(A銘柄を800円で買う)を出すような場合があります。

現実取引による相場操縦

有価証券の売買等の取引を誘引する目的で、有価証券売買等が繁盛であると誤解させ、または取引所金融商品市場における上場金融商品等の相場を変動させるべき一連の有価証券売買等またはその申し込み、委託等もしくは受託等をすることも、相場操縦として禁止されています。

また、架空の注文を出して売買が成立しそうになると取り消すといった、いわゆる見せ玉も相場操縦行為として禁止されています。

これは株価を釣りあげたい場合に大量発注をして買い注文が殺到しているかのように見せかけて、それに釣られた人がより高値で買い注文を入れてそのときに最初の発注を取り消すという行為のことです。

金融商品取引法_市場阻害行為の規制_3.png

市場操作情報の流布

取引を誘引する目的で相場が変動するという情報や噂を流すことは禁止されています。

虚偽情報による相場操縦

取引を誘引する目的で、相場変動に関わる重要事項について虚偽情報を流したり誤解を含む表示を故意にしたりなどをする行為は禁止されています。

1 風説の流布、偽計取引
2 仮装取引と馴合取引