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取引情報蓄積機関

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取引情報蓄積機関

取引情報蓄積機関等

取引情報蓄積機関とは

取引情報蓄積機関とは、店頭デリバティブ取引の取引情報を蓄積し、その一部の情報を市場に公開する機関のことです。

欧米において、店頭デリバティブ取引のリスク評価情報の保存や蓄積が必ずしも適切に行われているとはいえなかったことから、さまざまな懸念が生じても、取引実態が把握できず必要な対応が取りづらい面がありました。

このような点を踏まえ、取引情報を保存・報告することで、市場の透明性・予測可能性を高めることを目的としています。

店頭デリバティブ取引とは

証券取引所や金融取引所などを仲介せずに証券会社などの金融機関で金融派生商品を取引することです。店頭デリバティブ取引には、有価証券の先物取引などがあります。

店頭デリバティブ取引等に関する清算機関の利用の義務付け

取引規模が多額で、決済できないリスクの減少が必要な特定の取引は清算機関の利用を義務付けられています。

清算機関とは

市場で成立した売買について決済を行うために必要な処理を行う機関のことです。詳しくはパート金融商品取引清算機関等を参考にしてください。

取引情報の提供・保存及び報告

▼取引情報の提供

金融商品取引清算機関等は、取引情報蓄積機関に対して、清算集中等取引情報を提供しなくてはいけません。

また、金融商品取引業者は取引情報蓄積機関に対して、非清算集中等取引情報(取引情報のうち清算集中等取引情報でない情報)を提供しなければなりません。

ただし、いずれの場合も災害その他内閣府令で定めるやむを得ない理由で取引情報を提供できない場合は、その情報を記録・保存し内閣総理大臣に報告することとされています。

清算集中等取引情報とは

取引情報のうちで清算機関が債務を負担した取引に係る情報です。ここでの取引情報とは、投資者保護のため金融商品取引業者の取引について必要な情報のことです。

金融商品取引法_取引情報蓄積機関等_1.png

▼取引情報の保存及び報告

取引情報蓄積機関は提供を受けた取引情報について記録を作成し、保存しなければいけません。また、この情報を内閣総理大臣に提出する必要があります。報告に代えてITシステムを利用して取引情報を閲覧できる状態にすることでも報告したとみなされます。

これらの取引情報について、内閣総理大臣は必要な事項を公表する必要があります。

取引情報蓄積業務を行う者の指定

内閣総理大臣は、以下の要件を満たした法人を、申請に応じて取引情報蓄積機関として指定できます。

  • 法人であること
  • 取引情報蓄積機関の指定を取り消され、その取消し日から5年経過していないもの
  • 5年以内に金融商品取引法の規定に違反し、罰金の刑に処されている者でないこと
  • 役人のうちに、所定の欠格事由に該当する者がいないこと
  • 取引情報蓄積業務を行う上で必要な財産を有し、かつ、その業務に係る収支の見込みが良好であると認められていること
  • 取引情報蓄積業務を行う上で十分な知識と経験と社会的信用を有していると認められること

兼職の制限及び秘密保持義務

取引情報蓄積機関の代表者と常務に従事する役員は、金融商品取引業者などその他の内閣府で定める法人の代表者になったり常務に従事したりしてはいけません。

また、取引情報蓄積機関で働く人や働いていた人はそこで知り得た秘密を漏洩したり、盗用したりしてはいけません。

取引情報蓄積機関の業務

取引情報蓄積機関は、取引情報の保存、報告、公表の業務といった取引情報蓄積業務を行うにあたり、主に以下のような事項を業務規定に定める必要があります。

  • 金融商品取引清算機関または金融商品取引業者と締結する取引情報の提供を受けるという内容の契約(以下「取引情報収集契約」とする)の締結に関する事項
  • 取引情報蓄積業務の対象とする取引に関する事項
  • 取引情報の収集及び保存に関する事項
  • 取引情報の正確性の確保に関する事項

他にも内閣府で定められた業務を行う必要があります。

▼兼業の制限

取引情報蓄積機関は、上記の取引情報蓄積業務とそれに付随する業務以外の業務を行ってはいけません

ただし、取引情報蓄積業務を適正かつ確実に行うことにつき支障を生ずるおそれがないと認められる業務は、内閣総理大臣の承認を受けたときは兼業を行うことができます。

▼取引情報蓄積業務の一部委託

上記の業務の一部を内閣総理大臣の承認を受けて、他の者に委託することができます。また、その委託した取引情報蓄積機関の同意を得て、更に他の者に委託することもできます。

取引情報蓄積機関に対する監督

取引情報の保存、報告、公表を行う取引情報蓄積機関は公益または投資者保護のため、不正を行わないよう主に以下のような取り組みをしています。

  • 業務及び財産に関する報告書の提出
    内閣総理大臣に業務及び財産に関する報告書を事業年度ごとに提出しなくてはなりません。
  • 報告の聴取及び検査
    内閣総理大臣が認めるとき、取引情報蓄積機関と取引情報収集契約を締結したものは、その業務に関して参考になる報告の提出を命じることができます。
  • 業務改善命令
    内閣総理大臣が認めるとき、取引情報蓄積機関に対して、その業務の運営の改善に必要な措置をとることを命令することができます。
1 取引情報蓄積機関の目的
2 取引情報の提供について