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情報開示制度(ディスクロージャー制度)

パート14

金融商品取引法

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情報開示制度(ディスクロージャー制度)

情報開示制度(ディスクロージャー制度)

本パートでは金融商品取引法で定められている情報開示制度(ディスクロージャー制度)にはどのような制度があるかを説明します。

企業内容等開示制度

▼企業内容等開示制度とは

企業内容等開示制度とは、一般投資家が十分に投資判断ができるように、有価証券の発行会社の事業状況や財務状態等に関する情報の開示を義務付ける制度です。

企業内容等開示制度には、発行市場における開示と流通市場における開示があります。

開示される書類の正確性を保障するため公認会計士か監査法人の監査証明を受ける必要があります。

▼対象となる有価証券

対象となる有価証券は以下のとおりです。

  • 発行市場において募集もしくは売出しが行われる有価証券
  • 流通市場において継続開示の対象となる有価証券
  • 資産流動化に関わる有価証券、投資信託の受益証券及び投資法人の発行する投資証券等

なお、国債証券、地方債、金融債などについて企業内容等の開示の必要はありません。

1.継続開示とは

発行会社が有価証券報告書を証券取引所や投資家などに対して企業の決算などの情報を継続的に開示すること。

2.資産流動化とは

企業が保有する資産を投資家に小口販売すること。

3.受益証券とは

投資信託会社が投資家から集めた資金を有価証券に投資し、その運用によって得た利益を受けることができる権利を表示した有価証券のこと。

発行市場における企業内容等開示制度

▼募集または売出しに際しての届出

有価証券の募集または売出しには、発行者が内閣総理大臣に有価証券届出書を提出しなくてはなりません。その内容は公衆の縦覧に供されます。この届出が出されると目論見書と呼ばれる資料を用いて投資勧誘が可能となります。

ただ、実際に有価証券を取得させたり売り付けたりできるようになるのは届出の効力が発生してからです。効力の発生は内閣総理大臣がその届出を受理してから原則15日後です。

届出が出されてから効力が発生するまでの間は、一般的には仮目論見書と呼ばれる、重要事項が未定もしくは未記載の目論見書が使用されます。

金融商品取引法_情報開示制度_0.png

▼有価証券届出書の記載事項

有価証券届出書に記載すべき事項は、該当する募集または売出しに関する情報(証券情報)と発行会社に関する情報(企業情報)です。

▼目論見書とは

目論見書とは、有価証券の発行者の事業などを説明する資料です。

原則として、発行者や金融商品取引業者などの証券の勧誘をする人が届出を要する有価証券を募集または売出しにより販売するときには、目論見書をあらかじめまたは同時に投資者に交付しなくてはなりません。

【交付しなくてもよい場合】

目論見書を交付しなくてもよい場合は以下の通りです。

  • 適格機関投資家に取得させ、または売りつけるとき
  • 既に同一の銘柄の有価証券を所有している者、または同居人がすでに目論見書の交付を受けた、あるいは受けると見込まれるものがその交付を受けないことについて同意した場合に、その有価証券を取得させ、または売りつけるとき

【投資信託・投資法人に係る有価証券の場合】

投資信託や投資法人に関わる有価証券の場合、株券ほど詳細な情報開示が必要ないとされ、目論見書の内容に応じて以下の区分がされています。

  • 交付目論見書:投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす事項を抜粋して記載。交付が必須
  • 請求目論見書:投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす事項の詳細を記載。投資者から請求があった場合に交付

【目論見書の交付の要・不要】

  • 新しく開示する有価証券の売り出しを行うとき→交付が必要
  • すでに開示されている有価証券の売り出しを行うとき→交付は不要

金融商品取引法_情報開示制度_1.png

▼発行登録制度

発行登録制度とは一定の条件下の場合、有価証券の発行者が有価証券届出書を内閣総理大臣に提出しなくてもよいという制度です。その条件とは以下の通りです。 

  • 有価証券の募集または売出しを1回以上予定している
  • 参照方式適用会社が発行予定期間(1年か2年)の有価証券の発行予定額を記載した発行登録書というものを提出し、登録している

流通市場における企業内容等開示制度

▼流通開示の適用対象会社

金融商品取引法上流通市場で情報開示の義務がある会社は以下の3つです。

  • 上場会社
  • 上記以外で募集または売出しにつき内閣総理大臣に届出を要した有価証券の発行者
  • 上記二つ以外で資本金が5億円以上でかつ最近5事業年度のいずれかの末日において株主名簿上の株主数が1000人以上の会社

▼有価証券報告書

有価証券報告書とは、事業年度ごとに内閣総理大臣に提出をしなくてはならない会社内部の事業の報告書です。提出の期間は事業年度経過後3か月以内です。投資家に対して投資判断に必要な情報を開示することが目的です。

その内容(財務諸表)について公認会計士監査法人の監査証明を受ける必要があります。

▼内部統制報告書制度

内部統制報告書とは、上記の有価証券報告書の提出義務のある会社がその財務計算にかかわる書類やその他の情報の正確性を確保するために必要な体制について評価した報告書です。有価証券報告書と併せて内閣総理大臣に提出しなければなりません。

▼その他の報告書

以下の書類は必要に応じて内閣総理大臣に提出する必要があります。

金融商品取引法_情報開示制度_2.png

▼企業内容等の開示制度の電子化(オンライン化)

有価証券報告書や有価証券届出書などの開示書類はオンライン化されており、EDINETで確認することができます。金融庁が運用しているこちらのサイトです。

EDINET|有価証券報告書等の開示書類を閲覧するサイト

公開買付制度(TOB)

公開買付制度とは、不特定かつ多数の者に公告により株券等の買付の申込みまたは売りつけの申し込みの勧誘を行い、取引所金融商品市場外で株券等の買付を行うことです。

公開買付の条件(買付の期間、価格、数量など)は均一でなくてはならず、その途中で価格を引き上げることは認められますが、引き下げることは認められません。  

公開買い付けには発行会社による公開買付け(自社株買い)と発行者以外の者による公開買付けがあります。

1 企業内容等開示制度の対象
2 目論見書
3 有価証券報告書