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金融① -通貨-

パート3

経済・金融・財政の常識

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金融① -通貨-

金融

このパートと次のパートでは金融の基本について確認しましょう。 最初のパートでは特に通貨の在り方について扱っていきます。

通貨

通貨には、3つの基本機能があります。

機能            説明
価値尺度 物価やサービス価格を通過で示すことが可能。通貨は商品の計算単位
交換手段 通貨が無ければ物々交換になってしまうが、通貨があれば自分の欲しいものと交換できる(支払手段・決済手段ともいう)
貯蔵手段 将来の支払いや決済に備えた貯蓄が可能

また、通貨はその形態によって3つの種類に分けることができます。

種類 説明
現金通貨 日本銀行(紙幣)と補助貨幣(硬貨)
預金通貨 当座預金、普通預金、通知預金等の要求払預金
準通貨 定期預金、定期積立金等の定期性預金

以下では通貨に関する重要な概念について確認していきましょう。

通貨の価値

通貨の対外的な値打ちは、為替レートによって表されます。為替レートとは、外国通貨間の交換比率です。

為替レートに応じて、以下のように日銀の設定する金利が変更されます。

  • 円安になる = 輸入物価上昇(インフレ)
    ⇒ 通貨価値を保つために金利を上昇させる
  • 円高になる = 輸入物価下落(物価安定)
    ⇒ インフレ懸念が後退するため金利を低下させる

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マネーストック

マネーストックとは、国内の民間非金融部門(一般の法人、個人、地方公共団体等)が保有する通貨量の事です。
日銀をはじめとした金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量とも言えます。ただし、国や金融機関が保有する預金等は含まれません。

マネーストックにはいくつかの種類があります。

名称 説明
M1 現金通貨+預金通貨(普通預金、当座預金等の要求払預金)
M3 M1+準通貨(定期預金)+CD(譲渡性預金)
M2 M3のうち預金の預け入れ先が国内銀行等(ゆうちょ銀行を除く)に限定されたもの
広義流動性 M3に、金銭の信託、投資信託、金融債、銀行発行普通社債、金融機関発行CP、国籍、外積を加えたもの

日銀はM2と広義流動性を代表的なマネーストック指標として重視しています。
また、一般にマネーストック推移をみる場合は、M2が用いられることが多いです。

1 通貨

物価

物価が継続して上昇する現象をインフレーション、物価が継続して下落する現象をデフレーションといいます。

インフレが起こると、通貨の機能が失われてしまいます。

  • 通貨の価値尺度としての機能
    インフレが起こることで通貨の価値が不安定になり、商品の価値も不安定になるため、価値尺度としての機能が損なわれてしまう。
  • 通貨の交換手段としての機能
    例えば、モノを売っている人はモノの価格が日々上昇すると、もっと値上がりすることを期待してモノを売らなくなる。最終的には物々交換となってしまう。
  • 通貨の価値の貯蔵手段としての価値
    インフレの進行で、通貨価値が目減りしてしまうため、貯蔵手段としての目的を果たせなくなってしまう。

※マネーストックと物価の間には、マネーストックが増えれば物価が上昇するという正の相関があります。

マーシャルのk

マーシャルのkとは、マネーストックが経済活動水準に対して多すぎるのか少なすぎるのかを測る指標の一つです。貨幣の量であるマネーストックを、実際の経済の活動を表す名目GDPで除したものです。

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金利

一般的に言う金利とは、借り手から貸し手に支払われる利息の、貸借された金額に対する割合です。
金融の世界においては、この一般的に言う金利を名目金利と呼びます。

貸借された金額 × 名目金利 = 利息

名目金利に対し、名目金利から期待インフレ率(予想物価上昇率)を差し引いた金利を実質金利と呼びます。簡単に言えば、インフレによって変化するお金の価値を考慮した金利です。
この関係を表した以下の方程式を、フィッシャー方程式と言います。

名目金利 = 実質金利 + 期待インフレ率

フィッシャー効果

フィッシャー方程式で表される関係についてもう少し具体的に考えてみましょう。

例えば、物価上昇が激しく、人々がその物価上昇を予想してお金の貸し借りをしようとするとき、予想物価上昇率が大きくなるので、名目金利も上昇します。この効果をフィッシャー効果と言います。

つまり同じ利益(実質金利)を得ようとしても、お金の価値が下がることが予想されるならばその分課す金利(名目金利)を上昇させる必要があるのです。

このお金の価値の低下を表す指標が期待インフレ率(物価上昇率)というわけです。

(再掲:フィッシャー方程式)
名目金利 = 実質金利 + 期待インフレ率

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2 金利の計算

様々な金利

金利は場面によって扱いが変わってきます。以下の4つについてそれぞれ確認していきましょう。

  • 金融市場の金利
  • 預金金利
  • 貸出金利
  • 基準割引率及び基準貸付利率

① 金融市場の金利

金融市場の金利は、資金需要によって決まる自由金利(各金融機関が決める金利)です。(TIBORや10年国債利回りなどがこれに当たります。)

しかし、各市場で完全に独立して金利が決定するわけではありません。
市場間でも資本移動が自由である以上、連動性があり、金利は一定の水準に収れんしていく傾向があります(=金融裁定)。

② 預金金利

預金金利とは、預け入れ預金に対して、銀行から預金者に支払われる金利です。原則自由金利となっています。
短期金融市場の金利を考慮しながら、金融機関と預金者の間での個別交渉で決定されるのが原則です。(皆さんも口座開設を行った際、預金金利に関する案内を受けたことがあるかもしれません。)

③ 貸出金利

貸出金利とは、銀行などの金融機関が、企業や個人に資金を貸し出すときに金融機関が得る金利です。法律によって最高限度が定められています。
民間金融機関の貸出金利はさらに短期貸出金利と長期貸出金利に分けられます。

                     返却期間 説明
短期貸出金利 1年未満 最も信用力がある企業に対する短期最優遇貸出金利(短期プライムレート)を標準金利としています。
長期貸出金利 1年以上 短期貸出金利とは異なり、長期プライムレートの標準金利としての役割は低下しています。

※短期プライムレート
以前は旧公定歩合に連動していましたが、現在は銀行の資金調達コスト、資金需要、市場金利動向を勘案して、各金融機関が決定するようになっています。

④ 基準割引率及び基準貸付利率(旧:公定歩合)

基準割引率および基準貸付利率とは、日本銀行が民間金融機関に対する貸出金について適用する基準金利のことです。
一般的に、信用度の高い商業手形の割引歩合が用いられます。もともとの公定歩合に当たります。

まとめると以下の通りです。 スライド4.JPG

3 金利