サステナブルファイナンスの概要
近年のSDGsの流れにより外務員資格に新たな項目が追加されました。それが「サステナブルファイナンス」と証券業界の取り組みです。
サステナブルファイナンスの定義と目的
サステナブルファイナンスとは環境や社会課題に取り組む企業等に金融機関が融資や投資の形態で資金の援助をすることを言います。
そのような世界全体の社会課題を持続可能な方法により解決することが目的です。
外務員資格に追加された背景
持続可能な世界の実現のために必要な3つの観点である環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視する投資家が現在増加しています。
それに呼応して証券会社などの金融機関や他の企業もサステナブルファイナンスのようなサポートを拡大しています。
そのような昨今のサステナブルファイナンスに関する知識について外務員も一定の水準で習得する必要性が増大しているため出題範囲に加えられました。
参考:サステナブルファイナンスに関する内容の 外務員必携への追加と外務員資格試験への出題について|日本証券業協会
分類
サステナブルファイナンスは大きく分けるとグリーンボンド・ソーシャルボンド・サステナビリティボンドの3つに分かれます。
主な金融商品
融資の時は「ローン」となり、社債調達のときは「ボンド」となります。また、これらの全ての金融商品を総称してSDGs債といいます。
● グリーンローン/ボンド
定義は調達資金の用途が地球温暖化などの環境問題や気候変動問題への解決に関する事業であることです。
「グリーンボンド原則」を基準にして発行されています。主な対象プロジェクトは再生可能エネルギー、エネルギー効率、持続可能な水資源及び廃水管理などです。
● ソーシャルローン/ボンド
定義は調達資金の用途が衛生・福祉・教育などの社会的課題解決に向けた事業であることです。
「ソーシャルボンド原則」を基準にして発行されています。主な対象プロジェクトは基本的インフラ設備や持続可能な食糧システムなどです。
● サステナビリティローン/ボンド
定義は調達資金の用途が環境問題と社会課題解決のための双方に配慮した事業であることです。
例えば、環境面での便益も兼ね備えるソーシャルプロジェクトや、社会面での便益も兼ね備えるグリーンプロジェクトなど、環境面と社会面の両方に配慮した事業を対象とした債券であることが特徴です。
参考:証券業界におけるサステナブルファイナンスへの取組み|日本証券業界
ガイドラインと「4つの核」
国際資本市場協会(ICMA)という機関が、それぞれ従うべき原則・ガイドラインを設定しています。
- グリーンボンド:グリーンボンド原則(GBP)
- ソーシャルボンド:ソーシャルボンド原則(SBP)
- サステナビリティボンド:サステナビリティボンドガイドライン
またGBP・SBPには、グリーンボンド・ソーシャルボンドの定義と、それらの債券が共通して満たさなければならない「4つの核」が記載されています。
サステナビリティボンドにおいてもグリーンボンド・ソーシャルボンドと同様に「4つの核」を満たすべきであると、サステナビリティボンドガイドラインにおいて定義されています。
証券会社の取り組み
サステナブルファイナンスにおける証券会社の主な取り組みは上記のようなSDGs債を個人・法人に売ったり、民間企業などの発行体(債権を発行して資金を獲得する主体)に情報を提供したり債権の流通を円滑にすることに取り組んでいます。
ICMA共催コンファレンス
国際資本市場協会(ICMA)では、世界的なESG投資への関心の高まりを受けてサステナブルファイナンスの普及活動として国際コンファレンスを開催しています。
ここでは、SDGs債という統一呼称の提唱、SDGsに関する金融商品に関するガイドブックの制定などが行われました。