証券について
そもそも証券外務員の”証券”とはどういうことかわからない人もいると思うので、その概要を説明します。
証券とは
「証券」とは法的効力のある証明書のことです。
証券は金銭の支払いを求める請求書のような役割、もしくはそれを得ることで権利や義務を得ることができたりするものだというイメージです。
証券は有価証券と証拠証券の大きく二つに分かれます。 このうち証券会社が主に取り扱う「有価証券」とは財産権を表示するもののことで、性質上3つに分類されます。
発行市場と流通市場
証券市場は機能面から2つの市場に分けられます。それが発行市場と流通市場です。
この発行市場・流通市場いずれにおいても、証券会社は重要な役割を果たしています。
発行市場においては、投資家と同じように自分たちで株などを売買するディーリング業務や、投資家の「株を買いたい」「株を売りたい」といった注文を受けつけてそれらを証券取引所に伝達するブローカー業務があります。
流通市場においては発行元に代わって有価証券を売買するアンダーライティング・セリングといった業務があります。
以下でさらに詳しく説明していきます。
発行市場(プライマリー・マーケット)
資金を調達することが目的である発行者が有価証券を発行して、それを投資者が直接または仲介者(証券会社など)を通じてその有価証券の初めての所有者となる市場のことです。
● 発行市場での役割①:アンダーライティング
証券会社が株式や有価証券を買い取る業務のことです。この時、仮に証券が売れ残ってしまった場合証券会社が買い取ることになります。
非常にリスクがある業務であるため特定の業者(第一種金融商品取引業者)だけが行います。
● 発行市場での役割②:セリング
アンダーライティング業務と似た役割です。違いとしては、発行元から株を買い取るのではなく、発行元や引き受け会社から委託を受けて一般投資家に販売する業務です。
またセリングは代理店のような役割であり、売れ残ったものを買取る義務がないというのもアンダーライティングとの違いの1つと言えます。
流通市場(セカンダリー・マーケット)
既に発行された有価証券が第二次、第三次の投資者に次々と売買され流通される市場のことです。流通市場はさらに金融商品市場と店頭市場に分けられます。
金融商品市場:
金融商品取引所の開設する市場を指します。店頭市場:
有価証券市場以外の市場を指します。取引所を介さずに金融機関の店頭で直接取引を行います。
● 流通市場での役割①:ブローカー(委託売買)
投資家の「株を買いたい」「株を売りたい」といった注文を受けつけ、それらを証券取引所に伝達する業務です。
売り買いに関する適切な情報を提供しながら行われるブローカー業務では、取引が成立すると買い手と売り手の両方から報酬として仲介手数料を受け取ることができます。
● 流通市場での役割②:ディーリング(自己売買)とは
投資家と同じように自分たちで株などを売買する業務です。
しかし、投入資金が多くなると経営に不安が出るなどのデメリットがあるため「自己売買基準」というルールのもと会社ごとに売買する限度金額が決まっているのも特徴です。
両者の相互関係
流通市場で形成された証券の価格は、その証券に対する投資者の需給の動向を表しています。
これに対して、発行市場での新規証券の価格は流通市場での価格を基準とします。
すなわち、発行市場で新規発行された証券がなければ流通市場は成り立たず、逆に公正で継続的な流動性の高い流通市場がなければ発行市場も成り立たないと言うことになります。
このように両者は有機的に結びついており、それぞれが影響しあって成り立っているのです。
参考:その他の証券関係機関
証券取引所や証券会社以外で、主要な証券関係機関には以下のようなものがあります。
● 証券取引等監視委員会
インサイダー取引や証券会社の損失補償・損失補填、相場操縦などの公正を損なう行為の強制調査権を持ち、金融庁に属する公的機関です。
● 証券保管振替機構
国債以外の有価証券の決済及び管理業務を集中的に行う日本で唯一の証券決済機関です。有価証券の振替制度を運営しています。
● 投資者保護基金
証券会社の経営破綻により有価証券等を保有している顧客の損害を補填する機関です。このような補填を行うことで証券取引所に対する信頼を維持することが目的です。
● 日本証券金融
日本証券金融は、金商法に基づいて内閣総理大臣の免許を受けた証券金融専門の株式会社です。