犯罪による収益の移転防止に関する法律
このパートでは、外務員が守らなければいけない法律のうち、犯罪による収益の移転防止に関する法律について解説します。
犯罪による収益の移転防止に関する法律とは
犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)とは、以下のような事態の防止を図り、国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的として制定されました。
- 犯罪による収益が移転して事業活動に用いられることにより経済活動に悪影響を与えること
- 犯罪で得た収益をマネー・ロンダリングやテロ行為等へ資金供与すること
マネー・ロンダリング:犯罪で得た収益を、架空口座や他人名義口座などを利用し出所を分からなくして、正当な手段で得たお金と見せかけること
特定取引における確認義務
顧客に有価証券を取得させる内容の契約を締結する際、協会員は最初に顧客について本人特定事項等の取引時確認を行う必要があります。
代理人が取引を行う場合にも、本人に加えて代理人についても取引時確認が必要です。
なりすましが疑われる取引や取引時確認に本人特定事項を偽っていた疑いがある顧客等との取引など、指定された取引ではハイリスク取引として厳格な取引時確認を行う必要があります。
本人特定事項は以下の通りです。
●個人について
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 取引を行う目的
- 職業
●法人について
- 名称
- 本店又は主たる事務所の所在地
- 取引を行う目的
- 事業の内容
- 代表者等の本人特定事項
本人確認書類について
本人特定事項等の取引時確認は、本人確認書類の提示または送付を受ける等により行います。
なお、本人確認書類は、有効期限のある証明書については提示または送付を受ける日において有効なもの、有効期限のない証明書については提示または送付を受ける日の前6ヶ月以内に作成されたものに限られます。
取引時確認を行なった場合、直ちに確認記録を作成し、その契約の取引終了日及び取引時確認確認済み取引に係る引取終了日のうち後に到来する日から7年間保存する必要があります。
本人確認書類の例は以下の通りです。
●本人確認書類
- 運転免許証
- 在留カード
- 特別永住者証明書
- 個人番号カード
- 各種健康保険証
- 国民年金手帳
- 登記事項証明書(法人)
- 印鑑登録証明書(法人)
疑わしい取引の届出義務
取引業務の中で、顧客から受け取った財産が犯罪による収益ではないかという疑いがある場合等には、疑わしい取引として、速やかに行政庁(金融取引であれば金融庁)に届出を行わなければなりません。
届出時に必要な事項は以下のとおりです。
- 届出者の名称と所在地
- 疑わしい取引が発生した年月日と場所
- 業務の内容
- 当該取引に関する財産の内容
- 顧客または代表者等の氏名と住所
- 届出を行う理由