金融サービスの提供に関する法律
金融商品を顧客に販売するにあたり、外務員が守らなければいけない法律は、金融商品取引法以外にもあります。
このパートでは、守らなければいけない法律のうち、金融サービスの提供に関する法律について解説します。
金融サービスの提供に関する法律とは
▼金融サービスの提供に関する法律の概要
金融サービスの提供に関する法律(金融サービス提供法)は、以前は「金融商品の販売等に関する法律」と呼ばれていた法律です。
金融サービス提供法では、以下のような内容が定められています。
- 金融商品販売業者等が金融商品を販売する際の顧客に対する説明義務
- 説明義務違反により顧客に損害が生じた場合の損害賠償責任及び損害額の推定等
- その他の金融商品の販売等に関する事項
- 金融サービス仲介業を行う者について登録制度を実施し、その業務の健全かつ適切な運営を確保すること
▼金融商品取引法における説明義務との違い
金融商品取引法でも顧客への説明義務については定めがありますが、金融サービス提供法では説明義務に違反した場合の損害賠償責任を定めている点が異なります。
では、説明義務とは何か、説明すべき事項は何かを以下の項目で解説していきます。
説明義務とは
主に金融サービスを受ける顧客の保護を目的として、金融商品販売業者等は、金融商品の販売等を行う際、販売が行われるまでの間に、顧客に対して重要事項を説明しなければなりません。
説明は書面の交付でもよいですが、顧客の知識や経験、財産の状況等に照らし、その顧客が理解できる方法や程度で重要事項の説明をする必要があります。
重要事項の説明義務は、金融商品の販売等に関する専門的知識及び経験を有するものとして法令で定める「特定顧客」に対しては適用されません。
なお、顧客から重要説明事項の説明が不要である旨を表明された場合は、この説明義務は免除されます。
販売までに説明すべき主な重要事項
販売が行われるまでに顧客に説明すべき主な重要事項は以下のとおりです。
▼金利、通貨の価格、市場の相場、その他指標に係る変動(市場リスク)が直接の原因となって元本欠損が生じるおそれまたは当初元本を上回る損失が生ずるおそれがある場合
- 元本欠損が生じるおそれまたは当初元本を上回る損失が生ずるおそれがある旨
- 当該指標(元本欠損・当初元本を上回る損失の原因となりうる指標。例:金利、通貨の価格、市場の相場など)
- 当該金融商品の販売に係る取引の仕組みの重要な部分
- 権利行使期間の制限及びクーリングオフ期間の制限があるときはその旨
▼当該金融商品の販売者その他の者の業務または財産の状況の変化(信用リスク)が直接の原因となって元本欠損が生じるおそれまたは当初元本を上回る損失が生ずるおそれがある場合
- 元本欠損が生じるおそれまたは当初元本を上回る損失が生ずるおそれがある旨
- 当該者(業務または財産の状況の変化が、顧客の元本欠損・当初元本を上回る損失の原因となりうる者が誰なのかという情報。例:当該金融商品の販売者、発行体など)
- 当該金融商品の販売に係る取引の仕組みの重要な部分
- 権利行使期間の制限及びクーリングオフ期間の制限があるときはその旨
契約時に説明義務違反があった場合、損害賠償請求を求めるケースや契約の取消や解除が認められる可能性があります。